一等
深沢俊則創和設計 33歳
堀江悦男創和設計 30歳
中里博明創和設計 33歳
屋根は人間の生活空間を自然のさまざまな脅威から護るものであり、人間生活をささえる空間をその中に創り出す。
雨や雪、太陽の熱や光の厳しい自然条件から人間を護り、暖かく包み込む機能を、屋根は持っている。
そしてその創出する空間は、あるときは人々を止揚し、あるときは生活空間をシンボライズするかたちも創りあげる。
人類文化の歴史は、屋根によって創られた空間の歴史と歩みをともにしている。
屋根また、内部空間と同時に外部空間を構成する大きな要素なのでもある。
その土地の風土条件のなかから生み出された屋根のたたずまいは、その風土をもっとも特徴づけるものとして、人々に認識され、親しまれている。
一方、近代における技術の進歩は、風土的条件の制約を乗り越えて、さまざまな方法による人工環境を創り出した。
屋根を消去した建築は、近代技術のシンボルにさえなった。しかし反面、その機能のみが重視され、屋根が創り出す豊かな空間や、外部環境の重要な構成要素としての意義は、ややもすれば忘れられがちであった。
そうした視点に立つとき、今日、再び屋根が人間のための空間、および環境をつくる大切な要素として、デザインと技術の両者をふまえ、新たな人間性を尊重した生活空間の創出を望みたい。
今回の課題は、屋根の下にくりひろげられる生活機能を各自明確に設定し、それにふさわしい空間を設定することである。例えば居住施設、コミュニティ施設、あるいは広場の休憩施設やあずまやなどから、応募者が対象施設を自由に設定し、屋根によって創られる空間とのかかわり合いにおいて、それを設計することを望みたい。
敷地条件、規模、構造、使用料なども自由に想定してもかまわない。屋根のイメージをより豊かにする、創造力にあふれる応募案を期待する。
審査委員長 | 芦原 義信 | 東京大学教授 |
審査委員 | 池原 義郎 | 早稲田大学教授 |
審査委員 | 林 昌二 | 日建設計東京事務所副代表 |
審査委員 | 宮脇 檀 | 宮脇檀建築研究室長 |
審査委員 | 土橋 隆 | 日新工業社長 |