課題

水の生きている住空間

課題文

人間と水の対話は人間の歴史とともに続いています。水は無心に、その性質のまま自然に流れ、降り、留まり、湿らせているのですが、人間にとってはそれが、ときには友となり、ときには手強い敵となります。
清らかに流れるせせらぎの音は耳に快く響き、その情景は心をなごませてくれます。しかしいったん、洪水や怒涛となると人間を恐怖におとし入れます。また、そぼ降る雨はそこはかとない情感をかき立てますが、豪雨は心配の種をもたらします。空気の湿度も、ある点を境に、快く感じたり不快に感じたりします。あり過ぎて困り、なくて困る。人間にとって水のバランスのとれたあり方というのが、そこにありそうです。
こうした水の性質を熟知して常に水を人間の味方に引きとどめておくことが必要なのです。住空間に入り込んでくる水は、3つの性質に分類できそうです。第1は生活に必需の水で台所、洗面所、浴室、便所、ユーティリティなど、ウォーター・セクションと呼ばれるところで使われる水です。第2は生活にうるおいと豊かさ、楽しさをあたえてくれる水で、池、水槽、プール、つくばい、雨、せせらぎ、滝など感覚にうったえてくる水です。第3は雨もり、湿気、結露など、迷惑な水です。そして同じ水が、状況によってすぐ他の性質に変わっていきます。
こうしたいろいろな側面を持つ水を、住空間のなかで如何にデザイン的にも生かしたものとしてあつかって行くかが、今回の課題です。
対象とする住空間としては、独立住宅、集合住宅、別荘など、いずれでもかまいません。また、住空間の一部での水の生きている様を提示するものであってもよいと思います。規模、構造、使用材料などは各自の自由想定とします。イメージあふれる応募案を期待しています。

結果発表

一等

尺田可規海老原建築設計事務所 22歳

二等

小沢典仁平野敏之建築研究室 25歳

二等

小泉菜穂子桑沢デザイン研究室 20歳

村松まなみ桑沢デザイン研究室 21歳

松波宏隆桑沢デザイン研究室 23歳

小林義和桑沢デザイン研究室 24歳

岩倉秋夫桑沢デザイン研究室 24歳

藤原信太郎桑沢デザイン研究室 25歳

葉山真理桑沢デザイン研究室 21歳

豊田信桑沢デザイン研究室 23歳

佐山明夫桑沢デザイン研究室 24歳

中林茂夫桑沢デザイン研究室 24歳

須沢顕子桑沢デザイン研究室 25歳

三等

伊井伸大成建設 29歳

岡島正夫大成建設 28歳

田平徹大成建設 28歳

三等

山本親京都大学大学院 23歳

三等

小崎鐵雄泉創建エンジニアリング 23歳

服部政史早稲田大学 23歳

佳作

中西秀一野口建築事務所 25歳

居村年男居村建築事務所 27歳

佳作

谷垣吉行武蔵野美術大学副手 26歳

佳作

柳原吉春竹中工務店九州支店 33歳

佳作

千葉貴司Environmental Planning Institute 26歳

神谷昌男(協力)千葉工業大学 23歳

重富千春(協力)フリー 25歳

佳作

彦坂裕東京大学大学院 25歳

佳作

戸谷正夫工学院大学大学院 24歳

佳作

奥村啓三自営 26歳

佳作

佐々木悠次明治大学 24歳

長谷川俊彦明治大学 23歳

佳作

杉山一三杉山一三建築デザイン研究所 25歳

山崎晃成杉山一三建築デザイン研究所 25歳

佳作

森由紀夫大阪芸術大学 22歳

河村利通大阪芸術大学 22歳

宮澤秀治大阪芸術大学 22歳

渡辺達大阪芸術大学 22歳

賞金

  • 1等[1点]
  •  
  • 100万円
  • 2等[2点]
  •  
  • 各30万円
  • 3等[3点]
  •  
  • 各10万円
  • 佳作[10点]
  •  
  • 各5万円
全て税込

審査委員

審査委員長 芦原 義信 東京大学教授
審査委員 西沢 文隆 坂倉建築研究所長
審査委員 池原 義郎 早稲田大学教授
審査委員 林 昌二 日建設計東京事務所副代表
審査委員 宮脇 檀 宮脇檀建築研究室長
審査委員 土橋 隆 日新工業社長