一等
石橋利彦大成建設 33歳
高橋弘PENスタジオ 39歳
中原洋中原・高橋編集室 46歳
山村憲一林檎舎 34歳
徳川宜子大成建設 24歳
高密化が進み、日照権や法規など厳しさを増している都市環境のなかで、建物の屋上は、もっとも日照に恵まれ、風、雨、雪などの自然に生活のレベルで触れ合える場所です。またその建物の専有空間ですから、第2の土地といえるほどの価値があるわけです。しかし敷地の狭小化が問題になっている住居施設においても、屋上は物干し場ぐらいにしか使われていないのが現状です。それには屋根を重んじる考え方や、安全性への懸念、強度や防水など技術上の問題などがあると思います。しかし信頼性のあり防水技術も開発されていますし、それにもまして都市環境の今日的状況は、屋上空間利用の見直しを迫るものがあるのではないでしょうか。もともと屋上庭園は、近代建築の重要なボキャブラリィのひとつとして登場してきたものです。近代建築技術の発達によって、それまでの夢であった空中庭園が実現できるのだという喜びの表現として見ることもできると思います。マルセイユ・ユニテの屋上庭園は、その典型といえるでしょう。そしてその今日的意味は、都市の新しい空間の獲得なのです。今回の課題は、そうした視点に立っての「住まいの屋上庭園」です。
屋上は独立住宅、集合住宅のいずれを選んでもかまいません。平面の形状は各自決定し、階段室、エレベーター室、給水塔、クーリングタワーなど、必要とするものはデザインの中に組み込んで下さい。法規の許す範囲での斜面や段状のデザインは自由です。
機能としては、生活のアクティビティの延長としてのアウト・ドア・リビング、土や緑や水などによる文字通りの屋上庭園、太陽熱利用との組み合わせ、家庭菜園、その他にもいろいろ考えられると思います。そうした中で、これならば日常生活とつながり、屋上の活性化が計られるであろうと思う屋上空間の新しい使い方と、そのデザインを提示して下さい。魅力あふれる提案を期待しています。
審査委員長 | 芦原 義信 | 武蔵野美術大学教授 |
審査委員 | 大高 正人 | 大高建築設計事務所所長 |
審査委員 | 波多江 健郎 | 工学院大学教授 |
審査委員 | 薬袋 公明 | 日建設計専務取締役 |
審査委員 | 山下 和正 | 山下和正建築研究所所長 |
審査委員 | 土橋 隆 | 日新工業社長 |