一等
上利益弘INA新建築研究所 25歳
山田透INA新建築研究所 24歳
住まいの空間は、普通「ヨコ」への広がりとして考えられています。占有面積が限られた2階建てやメゾネット、高層の集合住宅などでも、「ヨコ空間」を積層したものとして理解されています。しかし「タテ空間」としての住まいが存立し得ると発想を転換するとき、そこに新しい発見があるのではないでしょうか。こうした発想の背景には、現代社会が抱えている過密化した都市の諸問題があります。建築家は、それを消極的に解決するだけでなく、問題が困難であればなお積極的に立向かい、新しい創造のバネとしなければなりません。
前回の課題はそうした状況のなかで、未利用の地下との関係に焦点を絞ったものでしたが、今回はトータルな視点から、地下室、屋根裏部屋、あるいは屋上までを含めた「タテ空間」の可能性を求めるものです。さらに高所願望というような心理的欲求と結び付けて都市型住居に限らない「タテ空間」の魅力を探し出すこともできるのではないでしょうか。
また住まいは、生活の物理容器であるだけでなく、家族が集まって人間的生活を営む「家」であることが必要です。人間らしさが息づき、想い出がしみ込むような空間こそが、「家」にふさわしいものだと思います。
このような「タテ空間」と「家」とのイメージが結合するところに、現代の住まいのひとつのあり得べき姿が見出されるのではないでしょうか。
環境・敷地条件、規模、構造、材料、戸建てか集合かなどは、応募者が自由に想定して下さい。
今回は第10回を記念して、特に海外旅行などの副賞が設けられております。この機会に「タテ空間の家」に挑戦して下さい。創造力溢れる応募案が寄せられることを期待しています。
審査委員長 | 芦原 義信 | 武蔵野美術大学教授 |
審査委員 | 大高 正人 | 大高建築設計事務所所長 |
審査委員 | 黒川 紀章 | 黒川紀章建築都市設計事務所所長 |
審査委員 | 宮脇 檀 | 宮脇檀建築研究室所長 |
審査委員 | 相田 武文 | 相田武文設計研究所所長 |
審査委員 | 土橋 隆 | 日新工業社長 |