課題

ペントハウスのすまい

課題文

ペントハウスに住む、というイメージは、日本とアメリカでは全く逆である。
日本でのペントハウスのイメージは、ビルの屋上の防水床から建ち上がったエレベーター機械室で、人気のない荒涼とした感じである。もしそこに住むといったら、みすぼらしい仮住まいぐらいにしいか思えない。しかしアメリカでは、ペントハウスは最上の居住環境と考えられている。ミース・ファン・デル・ローエは自分で設計したレークショア・ドライブ・アパートメントのペントハウスに住んでいたし、ヒューストンのトランスコ・タワーや新しい香港上海銀行の例のように、ビルのオーナーが住まいとしていることも多い。なんといっても眺望は最高であるし、周囲の環境条件に煩わされることも少ない。
一方日本では雨が多く、地震もあり、万一エレベータが故障したらなどと考え、しかも庭の緑に囲まれて暮らすことを理想としていたので、いままでペントハウスに住むなどということは思いもしなかった。居住環境としては悪条件であるという概念が、定着してしまっていたのである。
しかし今日、日本でもマイナス要因となる条件はほとんどクリアされたとみてよい。屋上に土を乗せ、植物を植えて庭園をつくることは、流行ってすらいる。そうした認識の転換を受けて、最近ではペントハウスを住まいとして計画した例が見受けられるようになってきている。これからの都市のあり方にとっても、重要なことと考えられる。何故なら、過疎化する都心に人口を回復させるひとつの手だてとしても有効であろうし、都市のスカイラインに新しいインパクトを与えるものともなるからである。
今回のテーマは、そうした意味における「ペントハウスの住まい」である。
今日の日本の都市空間に残された貴重な未利用環境としてのペントハウスの意味を見直し、それを積極的に活用する計画とそのデザインを考えて欲しい。
そのペントハウスの住まいが設置される建物の種類や規模は問わない。既存の建物に付加的に設置するものでも、新築のビルにいっしょに計画するものでも、また単体であっても集合体であっても、応募者が自由に想定してよい。新しいタウン・ライフの創出を目指し、日本の都市生活に相応しいペントハウスの住まいが提案されることを期待している。

結果発表

一等

荻野喜之東京理科大学大学院 25歳

二等

片山孝志関西大学 22歳

今村憲裕(協力)

栄宏之(協力)

二等

渡辺善次郎空間工作研究所 真空管 33歳

三等

大谷直己九州大学大学院 24歳

権藤徹也九州大学大学院 25歳

三等

石黒由紀日本女子大学 21歳

佐竹浩早稲田大学 21歳

三等

罗勁中国北京市 化工管理干部学院

甄洪艳中国北京市 化工管理干部学院

佳作

小川寛銭高組 29歳

佳作

笹岡信行不動建設 29歳

佳作

今村憲裕関西大学 22歳

上田浩司(協力)

片山孝志(協力)

佳作

工藤寿二明治大学大学院 23歳

小浜守明治大学大学院 22歳

居蔵麻紀明治大学大学院 22歳

井根俊高明治大学大学院 23歳

吉川久夫明治大学大学院 23歳

西村剛明治大学大学院 22歳

佳作

周憕中国 天津大学 建築系

佳作

カレン・シヴォニヤックカナダ大使館 プロジェクトオフィス 27歳

佳作

谷村肇明治大学 22歳

佳作

垣内昇大阪芸術大学 22歳

沖野光治大阪芸術大学 21歳

村田真一大阪芸術大学 22歳

安井亜矢子大阪芸術大学 20歳

山本謙吾大阪芸術大学 20歳

松川明彦大阪芸術大学 20歳

吉原久美子大阪芸術大学 20歳

吉岡敦大阪芸術大学 20歳

佳作

坂元伝早稲田大学大学院 24歳

佳作

罗勁中国北京市 化工管理干部学院

甄洪艳中国北京市 化工管理干部学院

賞金

  • 1等[1点]
  •  
  • 100万円
  • 2等[2点]
  •  
  • 各30万円
  • 3等[3点]
  •  
  • 各10万円
  • 佳作[10点]
  •  
  • 各5万円
全て税込

審査委員

審査委員長 芦原 義信 芦原建築設計研究所所長
審査委員 大高 正人 大高建築設計事務所所長
審査委員 黒川 紀章 黒川紀章建築都市設計事務所所長
審査委員 山本 俊介 清水建設取締役設計本部長
審査委員 石山 修武 早稲田大学教授
審査委員 相臺 淳吉 日新工業社長