課題

多様化時代のリゾートハウス

課題文

多様化時代が人間生活にもたらしたものは、その生活範囲のダイナミックな振幅である。仕事のための余暇から仕事と同価値の余暇へ、さらには趣味からスポーツやレジャーまでもが、独立した価値ある目的として位置づけられるようになってきた。それを実現するための時間や経済的余地が持てるようになったからではあるが、同時に生活意識を大きく変革してきたのを見逃すことはできない。それまでは考えられなかったようなさまざまな人生観を持った人びとが出はじめてきたのである。
そのため当然、かつては上流社会のステイタス・シンボルとして避暑・避寒の社交場であったリゾートハウスの意味も変わってきた。より多くの人びとにとって、生活の場の拡張のひとつとして望み得るものになってきたのである。そして余暇を過ごす場ちった漠然としたものではなく、誰のためのリゾートハウスか、それぞれの使われ方が問われるようになってきた。まさに多様化時代である。
事実、さまざまな社会的地位や指向性を持った多様な人びとが、リゾートハウスを所有し、その生活を楽しむようになってきている。そうしたリゾートハウスを持とうという人の中には、世界的リッチマンもいれば、経済的には豊かでないがリゾート生活に心の豊かさを求める人生エンジョイ派もいよう。暇のない人や老人のためのリゾートハウスも、これからの時代のテーマとなるに違いない。
今回の課題は、そうした多様化時代のリゾートハウスである。
応募者は各自、リゾートハウスのオーナーとその家族を自由に設定し、そこで行われるであろうリゾート生活を想定して、その物語に相応しいリゾートハウスの設計をして欲しい。多様化のなかから何をひとつ選択するか、課題はそこからはじまる。そして人間にとって豊かさとは何かを考え、新しいリゾートハウスの意味をその設計に籠めてもらいたい。リゾート時代の明日を拓く創造力溢れる応募案を期待している。

結果発表

一等

鎌田泰寛室蘭工業大学入江研究室 23歳

二等

宗䬆中国 中国市政工程西南院

張瑾中国 中国建築西南院

二等

塩塚隆生アルカイック 25歳

三等

五ノ井浩二早稲田大学大学院 23歳

三等

粟野展和九州芸術工科大学大学院 26歳

田中香九州芸術工科大学大学院 22歳

三等

榊法明27歳

宮本聡子日本女子大学住居学科 21歳

佳作

朱培藝中国上海城建学院 20歳

佳作

石田悟柴滝建築設計事務所 37歳

若山裕典(協力)

佳作

八尾広東京大学生産技術研究所原研究室 23歳

佳作

宇都宮常男

岩瀬玲子ウイプロ 26歳

佳作

鈴木恵子福井大学大学院 22歳

熊澤栄二福井大学大学院 232歳

佳作

向後慶太日本大学大学院近江研究室 23歳

佳作

濱嵜良実日本大学大学院近江研究室 26歳

薬師寺浩日本大学大学院近江研究室 23歳

福西浩之日本大学大学院近江研究室 23歳

佳作

小笠原滋之日本大学生産工学部宗 宮崎研究室 23歳

佳作

角南典和近畿大学工学部 23歳

佳作

今井公太郎東京大学生産技術研究所原研究室 22歳

賞金

  • 1等[1点]
  •  
  • 100万円
  • 2等[2点]
  •  
  • 各30万円
  • 3等[3点]
  •  
  • 各10万円
  • 佳作[10点]
  •  
  • 各5万円
全て税込

審査委員

審査委員長 芦原 義信 芦原建築設計研究所所長
審査委員 大高 正人 大高建築設計事務所所長
審査委員 黒川 紀章 黒川紀章建築都市設計事務所所長
審査委員 伊東豊雄 伊東豊雄建築設計事務所所長
審査委員 押野見 邦英 鹿島建設建築設計本部副部長
審査委員 相臺 淳吉 日新工業社長