一等
武藤成基法政大学大学院 23歳
この日新工業建築設計競技は、お陰様を持ちまして、今回で第20回を迎えることになりました。これもひとえに建築界の皆様方のご支援、ご指導の賜物と厚く感謝申し上げる次第です。
今回はそうした記念の意味を籠めまして「メモリアル・ホール」を課題とします。 近代建築以前、記念構造物や記念碑の設計は、建築家の重要な仕事でした。ところが新しい時代をリードした機能主義の思想においては、記念性は非合理的なものとしてそれらに付随していた装飾とともに否定されました。効率的近代社会の確立が急がれた時期でもあったからです。しかし現在、時代に則した記念性が再び求められているようになってきています。
それはかつてのような装飾や威厳に溢れたものではなく、親しみのある記憶を呼び戻し、よりよい社会づくりに思いを馳せさせるような記念性です。国や地域にとっての記念すべき出来事や人物、あるいはまち起こしに寄与する自然現象などを想定して、それらに相応しい記念性を感じさせるメモリアル・ホールを考えて下さい。またホールといっても集会や音楽・演劇のためのものだけではなく、展示ホールあるいは地域社会に根付くような小さな施設等でもよいと思います。
均一化した社会を理想とした近代思想を超えて、メリハリのある社会やまちの構成が豊かさの指標ともなりつつあります。メモリアル・ホールは、そうした地域社会の魅力的な拠点としての役割を果たすものでありたいと思います。
何をどうメモリアル=記念するかを考え、地域の人びとに親しまれ、社会の記憶に組み込まれるようなメモリアル・ホールを提案して下さい。時代精神としての記念性を表現した応募案を期待しています。
なお、20周年の記念企画も予定しております。ご期待下さい。
審査委員長 | 芦原 義信 | 芦原建築設計研究所所長 |
審査委員 | 大高 正人 | 大高建築設計事務所所長 |
審査委員 | 黒川 紀章 | 黒川紀章建築都市設計事務所所長 |
審査委員 | 葉 祥栄 | 葉デザイン事務所所長 |
審査委員 | 横川 健 | 横川設計工房所長 |
審査委員 | 竹山 聖 | 京都大学助教授 |
審査委員 | 相臺 淳吉 | 日新工業社長 |