一等
中藤泰昭大成建設
小林浩同
相馬由美子同
エッジとは「際」である。際空間には自らの存在する領域のアイデンティティが強く求められる。あるいは逆に、領域が転換していく儀式の表現をエッジに求めることがあるかもしれない。いずれにしてもエッジには、明確な性格付けが必要である。
現代都市のコンプレクシティのなかで、さまざまなエッジが生まれ、押し動かされ、消滅していく。たとえば都市が成長していく場合にはその先端がエッジで、アメーバの成長のように不定型に都市を押し広げていく。しかし伸びきった都市は内部が空洞化し、その部分に新しい可能性を求めエッジがうごめきはじめる。再開発はそうした場所の活性化を計るものであり、その効果の及ぶ先端がまたエッジとなる。それだけではない。現代都市のなかには、見えにくくゆらいでいるエッジも数多く存在しているのではなかろうか。
住宅地のエッジであるならば、一方は住宅地を飲み込もうとする都市と向かい合い、他方は田園や森林など自然環境と対峙する。そして両方の領域をつなげる役割を果たすエッジもあれば、隣接する領域との差異をはっきり示すエッジもある。 エッジは都市に限ったものではない。水際もエッジであれば、畑と森の接点、断崖の際など地理的なエッジもある。あるいは空とのエッジもあろう。自然環境的意味でも、いろいろな概念のエッジが存在するのである。
エッジは常にホットである。異なった領域との接点であるため、そこには緊張感が存在し、さまざまなエネルギーが渦巻く。それはアクティビティとなり、エッジの魅力の根源となる。最先端のライフスタイルは、エッジにこそ生まれてくるのかもしれない。
今回の課題「エッジに住む」は、あなたにとってエッジとはなにか、まずそれを考えることからはじまる。
そこでの住まいは戸建てであってもよい。そしてそのエッジに住むメリットはなにか、魅力はなにか、さらになにが可能か、どのようなライフスタイルが存在するかなどを想起し、その思いを表現して欲しい。チャレンジャブルな提案を期待している。
審査委員長 | 黒川 紀章 | 黒川紀章建築都市設計事務所所長 |
審査委員 | 鈴木 了二 | 鈴木了二建築計画事務所 |
審査委員 | 芦原 太郎 | 芦原太郎建築事務所 |
審査委員 | 内藤 廣 | 内藤廣建築設計事務所 |
審査委員 | 隈 研吾 | 隈研吾建築都市設計事務所 |
審査委員 | 相臺 淳吉 | 日新工業社長 |
コーディネーター | 馬場 璋造 | 建築情報システム研究所 |