課題

ゆっくりと

課題文

現代社会において、スピードは力であり、常にアドバンテージを生むものである。とはいえ、化石燃料を消費し排気ガスを巻き散らす車が今以上に速い必要はない。力となる速さとは、情報処理や通信における速さであり、単純にいえばコンピューターの速さである。
果たしてそのスピードが本当に必要か、という議論は、これまでも何度も繰り返されてきた。デスクの上の小さなコンピュータでさえ、その処理速度は思考のスピードを遥かに超えていると感じることがある。膨大かつ精密なアウトプットに圧倒されて、人は時として判断力を失う。
しかし、そのスピードが必要か否かを問う以前に、既にわれわれの現実の生活、リアリティは、抗し難くそのスピードの力によってストラクチャライズされていることを知るべきである。もはや後戻りはできないのだ。ディスプレイの向こう側に広がるサイバースペースの可能性はまさに、この力に支えられている。
その意味で、今回の課題「ゆっくりと」が求めるものは、スピードの短絡的な否定ではあり得ない。森の生活に戻るのではなく、あえていえば、ウォークマンを聴き、ノートパソコンと携帯電話を携えて、都市という名の森を自転車で駆け抜けるイメージである。
あるいは、高速で動くものに対する速度の差、時間のずれの中に見出されるもうひとつのリアリティ。非在で不可視なものを垣間みさせる、具体的な場所と実体的な形。より積極的な「ゆっくりと」を建築として構想してほしい。

結果発表

一等

桐野勝敏green LABEL・27歳

二等

伊勢屋寛ニューヨーク州立大学・23歳

二等

松本早織クリエイティブデザインカレッジ
(京都芸術デザイン専門学校)・19歳

保利美也子同上・24歳

高原正伸同上・37歳

三等

伊礼朋次戸田建設(株)建築設計統轄部・30歳

三等

臼田信二戸田建設(株)建築設計統轄部・35歳

太田隆司同上・35歳

戸田隆一同上・35歳

三等

川合康央京都工芸繊維大学・27歳

佳作

大庭晋法政大学・25歳

岡田周也同上・25歳

佳作

若尾憲北海道大学・23歳

佳作

竹内美穂フリー・26歳

加藤純同上・28歳

佳作

長谷川聡Full Product Design Studio・25歳

佳作

酒井敬明治大学

太田篤志同上

金子秀之同上

佳作

横川雄一東京芸術大学・23歳

佳作

大塚タイスケ法政大学

佳作

松本早織クリエイティブデザインカレッジ
(京都芸術デザイン専門学校)・19歳

保利美也子同上・24歳

高原正伸同上・37歳

佳作

林口敦フリー・23歳

賞金

  • 1等[1点]
  •  
  • 130万円
  • 2等[2点]
  •  
  • 各50万円
  • 3等[3点]
  •  
  • 各20万円
  • 佳作[10点]
  •  
  • 各10万円
全て税込

審査委員

審査委員長 香山 壽夫 建築家
審査委員 長谷川 逸子 建築家
審査委員 北川原 温 建築家
審査委員 岸 和郎 建築家
審査委員 佐野 吉彦 建築家
審査委員 相臺 公豊 日新工業株式会社社長