一等
本田洋一フリー
不意に降りはじめた雨に追われて軒先を借り雨やどりをする。そして雨足を眺めながらぼんやりと空白の時間を過ごす。こうした光景は現在ではあまり見られなくなった。
昨今では、突然の雨に合うと、コンビニなどでビニール傘を手に入れたりして、せわしなく目的地に向かうことになる。しかし、そんなとき、何か魅力のある、雨やどりの空間が身近かに用意されていたらどうだろうか。
今回は、いささか懐かしい響きをもつ「雨やどり」という行為を、単なる雨やどりの装置またはスペースということだけではなく、イメージを膨らませて考えてもらいたい。
また、雨が降っていない時でも、その環境の中で無用の用とでもいえる役割を果たしているような空間が望ましい。
それは、街のなかの小さなパブリックスペースの役割を果たすものになるかもしれない。
また、別の表現をするなら、それは、雨やどりしている時間をデザインすることになるのかもしれない。
もっとも、雨はいつも優しいものとは限らない。時に、災害をもたらすこともある。そんな時の被災地でのシェルターや仮設住宅のような役割を担うことも、広い意味で雨やどりの空間になることがあるだろう。
なお今回の課題は、1976年度の第3回日新工業建築設計競技と同一のテーマである。
審査委員長 | 北川原 温 | 建築家 |
審査委員 | 三栖 邦博 | 建築家 |
審査委員 | 光井 純 | 建築家 |
審査委員 | 吉松 秀樹 | 建築家 |
審査委員 | 西沢 立衛 | 建築家 |
審査委員 | 相臺 公豊 | 日新工業株式会社社長 |