一等
渡瀬育馬立命館大学大学院
原慎太郎立命館大学大学院
かつて都市を支えていたのは水運であり、江戸や大坂は、縦横無尽に運河が張り巡らされた水の都でした。
ベルリン東洋美術館所蔵の全長12mに及ぶ日本橋周辺を描いた絵巻「熈代勝覧(きだいしょうらん)」には、にぎわう魚河岸や、富士山を望みながら人びとが行き交い舟が往来する日本橋の風景が描かれています。
水に思いを巡らせば、水郷と呼ばれる田園や、内陸の盆地に栄えた都市であっても、やはり水によってネットワークされていました。ベネチアやアムステルダムとその名を挙げるまでもなく、ヨーロッパの主要な都市もまた、今なお水によって結ばれた美しい都市風景を誇っています。水を感じる風景によって都市は記憶されます。景観への社会的な意識が高まり、かつてあった都市の風景を手掛かりとした都市再生の動きが活発化する中で、都市の水系が再発見されています。
見方を変えれば、目に見える水路や運河だけではなく、埋設された水道や下水道もまた都市に張り巡らされたもうひとつの水系でしょう。人の手が加えられた水系は、そのまま都市の構造に重なります。水系という視点から都市を読み、人と水系の関係を捉え直すことは、これからの都市や建築のあり方を考える重要な手掛かりなるでしょう。
今回の課題「水系都市に暮らす」は、都市に暮らす人が、水系を感じ、楽しめる場の提案を求めるものです。
住宅やオフィス、ホテル、あるいはもっとシンプルに、人が水系と繋がる仕掛けのある空間など、用途を自由に想定し、具体的な場として提案してください。
審査委員長 | 北川原 温 | 建築家 |
審査委員 | 三栖 邦博 | 建築家 |
審査委員 | 光井 純 | 建築家 |
審査委員 | 吉松 秀樹 | 建築家 |
審査委員 | 西沢 立衛 | 建築家 |
審査委員 | 相臺 公豊 | 日新工業株式会社社長 |