一等
高山 祐毅東京理科大学大学院
夏の休日、パラソルの下、目を細めて砂浜の先にきらめく波を眺める至福のひととき。空と海と大地の境界にある浜辺は、自然の恵みを心ゆくまで享受できる場所です。もちろん浜辺は穏やかにわれわれを迎え入れてくれるだけではありません。時に海は荒れ狂い、誰をも寄せ付けない場所に変貌します。季節や天候だけでなく、内海と外海、朝日の昇る海、夕日の沈む海、あるいは都市の水際と、浜辺の風景は、地域によってさまざまな様相を見せます。
そんな風景の中で、自然の力を感じ取れ、詩的な想像力をかきたててくれる空間、自然と共棲する暮らしを、建築として提案すること、それが今回の課題です。
浜辺の別荘や住宅、というプログラムもいいでしょう。それにとどまらず、たとえば思索や学びの場所、ある特別な時間のための場所というように、過ごし方や、アクティビティを自由に、そして具体的に設定するのも一案です。そこには日常の延長ではない、もうひとつの別な生活、別な人生があるかもしれません。
かつてからその地にあった暮らしとのつながりや既にあるもの、景観、環境に注目してみるのもいいでしょう。浜辺は、海水面の上昇や異常気象といった気候変動を、肌で感じ取れる場所でもあります。
この課題に取り組む前に、まずは一日、浜辺で過ごしてみてはいかがですか。
審査委員長 | 六鹿正治 | 日本設計代表取締役社長 |
審査委員 | 青木 淳 | 青木淳建築計画事務所代表 |
審査委員 | 妹島 和世 | 慶応義塾大学教授 |
審査委員 | 藤本 壮介 | 藤本壮介建築設計事務所代表 |
審査委員 | 山本 敏夫 | 鹿島建設常務執行役員・建築設計本部本部長 |
審査委員 | 相臺 公豊 | 日新工業株式会社社長 |