課題

アジアモンスーンの「家」

課題文

今回の課題は、アジアモンスーンの「家」です。
高温多湿を大きな気候的特徴とするアジアモンスーン地域。日本列島の大部分はその中に位置し、世界的にも降水量の多い、水に恵まれた環境にあります。
豊富な水や湿潤な空気は豊かな植物資源を生み出し、その恵みによって木造建築や農耕が誕生し、発展しました。高床、勾配屋根、深い軒といった建築の形態も、アジアモンスーン気候から合理的に導かれた形式であり、「家」という生活形態も、農耕を支えるための共同体を養う場として編み出された生活様式です。つまり私たちの生活とそのかたちは、アジアモンスーン気候によって育まれてきたものなのです。
しかし、20世紀以降、私たちの選択した生活様式は、はるかに乾燥した気候の下で生まれ育った近代文明を下敷きにして再形成されていったため、私たちを育んだアジアモンスーン気候とは必ずしも相性のよいものではありません。言い換えれば、現在の私たちの生活は、私たちに身近な自然とはいささか縁遠いものになってしまっているとも言えるでしょう。
ところが昨今は、地球温暖化に伴うCO2排出削減という課題に加え、電力消費の削減要求などの社会問題も発生しているため、エネルギー負荷を減らしアジアモンスーン気候に寄り添いながらも快適な生活スタイルや環境低負荷型建築を実現することへの関心が高まってきました。
そこで今回は、アジアモンスーン気候の特徴、たとえば夏場の高温多湿、夕立、強い日射など、私たちに身近な自然を積極的に活用しながらも、しかも快適で現代的であるような建築の提案を求めることに致しました。
家に「」をつけたのは、単に自然環境と建築の関係を解くだけでなく、そこに住まう人たちの人間関係も合わせて提案して欲しいと考えたからです。アジアモンスーン気候の定義や「家」の解釈などは、日本に限定せずに広くアジア地域を想定していただいてもかまいません。みなさんの自由な発想に期待を致します。多くの方々のご提案をお待ちしています。

結果発表

一等

水野 貴之横浜国立大学大学院Y-GS

越後 海横浜国立大学大学院Y-GSA

二等

清野 新東京大学大学院

田代 晶子早稲田大学

三等

飯田 将平京都工芸繊維大学大学院

佳作

石川 睦愛知工業大学

大山 真司愛知工業大学

佳作

阿部 雄介日本大学大学院

木上 奈都子都留理子建築設計スタジオ

佳作

高田 和政高田和政建築設計室

佳作

山田 哲也ヤマダアトリエ

佳作

川端 昂次京都工芸繊維大学

佳作

石川 北斗明治大学大学院

佳作

阪口 達哉法政大学大学院

高松 達弥法政大学大学院

佳作

竹田 和行東京理科大学大学院

賞金

  • 1等[1点]
  •  
  • 100万円
  • 2等[1点]
  •  
  • 50万円
  • 3等[1点]
  •  
  • 30万円
  • 佳作[8点]
  •  
  • 各10万円
全て税込

審査委員

審査委員長 六鹿正治 日本設計代表取締役社長
審査委員 青木 淳 青木淳建築計画事務所代表
審査委員 妹島 和世 慶応義塾大学教授
審査委員 藤本 壮介 藤本壮介建築設計事務所代表
審査委員 山本 敏夫 鹿島建設専務執行役員・建築設計担当
審査委員 相臺 公豊 日新工業代表取締役社長